気持ち通いあうことほんとに楽しい=地域共助で介護予防「テンミリオンハウス」

14 Aug 2019

 「介護予防」「認知症予防」を掲げたユニークな事業が東京都武蔵野市で行われている。高齢者の暮らしを近隣住民が支える「共助」の取り組み。子育てを終えた世代の女性たちがスタッフとなり、地域コミュニティーの活性化に力を尽くしている。
(産経新聞2019年8月16日掲載)

「第2の家」に…

「今日のお料理はですねぇ…」
庭に面した広い居間に、陽光が差し込む。テーブルを囲んだ利用者の前に、昼食が並べられる。この日のメニューはゴボウの混ぜご飯、肉巻き、白あえ、茶碗蒸し、漬物、みそ汁、デザートのスイカ。スタッフが食材や調理法を説明する。

武蔵野市西久保の民家「テンミリオンハウス 川路さんち」は市内の高齢者に開放されている。編み物や書道、コーラスといったプログラムがあり、月1回程度はイベントも。利用料は1日100円。昼食は500円で食べられる。「第2の家」として気軽に利用してもらうのが目標だ。

子育て終え参加

「テンミリオンハウス」は、武蔵野市が介護保険の適用されない元気な高齢者をサポートするために始めた。運営者に年間1千万(テンミリオン)円の補助金を出す。市内に8カ所あり、住民グループやNPO法人などが管理・運営する。「川路さんち」は約20年前にオープンした第一号。運営にあたるのは地域住民によるグループ「萩の会」だ。代表の平山京子さん(72)は開設後間もなく、友人に誘われて参加した。

「一緒に料理作ってくれない? って言われて、それならできるかなって。子育ても終わっていたし、地元で役に立てるならやろう、と思ったんです」。参加してからは自身も友達を誘い、3年前から代表に。

「近くに住んでいる人を助けたり、助けられたり。気持ちが通いあうことが楽しい。スタッフには一応時給がありますが、お金のためというよりは、皆さん、地域に貢献したいという気持ちでかかわっている。人集めは口コミだけですが、全然苦労していません」
現在のスタッフは10人。40歳から75歳と幅広い。資格は不要で、活動方針はシンプル。利用者が安心して来られて、スタッフも楽しく過ごせる場所にすることだ。「ほんとに楽しいんですよ。いろんなこと話して、笑いあって」

グループ「萩の会」代表の平山京子さん

「居場所がある」

利用者も満足そうだ。
「こんなに楽しい老後があるとは考えもしなかったわ!」と満面の笑顔で話すのは高橋幸子さん(89)。書道、コーラス、編み物に参加し、「3日に1回ぐらいは来ているかしら」。よく一緒に来るという友人の中谷悦子さん(82)も「ここに来ると楽しい気分になれる」相づちを打つ。

男性も参加しやすい。諏訪秀策さん(81)は、昨年リタイアして利用するようになった。毎週水曜に来て得意な囲碁を初心者に手ほどきする。「居場所があるっていうのはありがたいですね」

プログラムがない日も、誰かがいて、思い思いに過ごす。ここにくれば独りではない。元気な高齢者は「家庭」がサポートし、介護が必要になれば「施設」という固定観念が強いが、友人、知人や隣近所の「共助」は、生きやすい社会のキーワードだ。

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