高齢化率53%、住民運営のマーケット

28 Oct 2019

地方の高齢化と人口減少は深刻だ。住民の知恵と工夫がなければ、日々の買い物にも行き詰まる。だが、嘆いてもいられない。日本の20年後の高齢化率を体現する島根県雲南市は、旧小学校区ごとに地域自主組織を配置し、課題解決型の町づくりを行っている。

■住民運営のマーケット

雲南市の波多(はた)地区は住民約300人、高齢化率は約53%だ。廃校になった小学校の一角に、住民が営む食品雑貨店「はたマーケット」がある。

買い物を終えた同市の本間ハマヨさん(88)は、「声もかけてもらえるし、お買い物は楽しい。ここができて、大助かり」と満足げだ。

小さなコンビニエンスストアほどの店に、パンや加工食品など970品目が並ぶ。営業は日曜、祝日を除く午前9時から午後5時半。本間さんは、地域内の送迎タクシー「たすけ愛号」でやってきた。「夫が生きていた頃は、どこへでも車で連れてってもらえた。でも、私は免許もないの。女性は運転なんてしない時代だったから…」と話す。

マーケットもたすけ愛号も、運営するのは地域の自主組織「波多(はた)コミュニティ協議会」。雲南市に30ある地域自主組織の1つで、市から地域づくり活動交付金などを受けて、住民サービスを行う。

翌日のカフェの準備が着々と進められていた

■いずれはみんな困る

波多地区が買い物に行き詰まったのは5年前。地域内に一軒だけだった日用雑貨店が廃業したのだ。

間もなく、民間事業者から同協議会に「極小スーパー」運営の打診があった。「住民が1000人いれば運営できる」との触れ込み。だが、波多地区の人口はその3分の1だ。

人件費を節約するため、店番は協議会のスタッフが兼務。住民には「自分たちの店だ」と思ってもらえるよう、2000円ずつ出資を求めた。不足分は借金し、協議会の役員らが「赤字が出たら、われわれがなんとかする」と踏み込んで実施を決めた。

当時を振り返り、同協議会の山中満寿夫会長(74)は、「反対する人もわれわれも、いずれは年を取って運転できなくなる。今、やらないと、みんなが困ると思った」と話す。

「月に100万円」を祈った月商は今、120万~130万円。「みんなで支える」気持ちが浸透したのか、1人あたりの購入価格が平均より高い。借金も返済し、最近は他地区への移動販売を検討している。

■拠点はサロンで学童で

廃校になった小学校は放課後児童クラブでもサロンでもある=雲南市・入間交流センター

波多地区に隣接する入間(いるま)地区は人口約240人、高齢化率はやはり53%。廃校になった小学校に、地域の拠点「入間交流センター」がある。

月1回開かれるサロンでは、ワンプレートランチが500円のワンコインで提供される。楽しく食べてもらい、高齢者らの引きこもりを防ぐのが狙いだ。

ある日の午後、スタッフの朝山賞子(まさこ)さん(64)と住民が翌日のサロンの準備に追われていた。準備するのは約60食。メニューはピーマン肉詰め梅おろしソース、糸うりのサラダ、焼きナスのえのきあえなどなど。デザートにフルーツもつくにぎやかさだ。

朝山さんは、「この材料で、こんな風になるんだ!?という驚きを届けたい」と張り切る。

合間に、子供たちが「ただいま」とスクールバスで帰ってくる。放課後児童クラブ代わりに、宿題をしながら保護者の帰りを待つ。センターが高齢者と子供の交流の場にもなっている。

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