施設で洗濯物を出さない母 なぜ?=柴田理恵さんの連載エッセー〈8〉

2020/03/25

今年は、桜の開花が早かったですね。
寒い日もまだありますが、一雨ごとに温かくなり、
次第に春めいてきました。

母は、この冬は施設で過ごしました。
施設の入居者には教え子もいるし、楽しくやっていましたよ。

母のことは、私のいとことそのお嫁さんが
お世話をしてくれているのですが、
実は今回、ちょっと困ったことがあったんです。

先日富山に帰ったとき、施設の方が飛んできて、
「お母さんに着替えてくださいって言っても
着替えてくれないんです。理恵さんから言ってもらえませんか?」
とおっしゃるんです。

母の洗濯物は、いとこのお嫁さんが取りに来て、
洗ってくれています。
清潔にすることは病気の予防にも大事ですし、
もし、病気になったら皆さんに迷惑がかかります。
「周りの人に迷惑かけたらだめ!
ちゃんと着替えて!」って怒りました。
でも、母は「う~ん・・・」と言ったきり、
全然聞いてくれません。

■遠慮していた母 言い方は大事

私は困り果て、たまたま会った地元の親友に
愚痴を言いました。
そうしたら、彼女が、
「そういう風に上から言うとうまくいかんわ」
「お嫁さんが心配しているって、伝えてみたら?」
「お嫁さんが、『私の洗濯が気にくわないのかなって
悩んでるよ』って伝えてみたら?」
というアドバイスをくれました。

なるほど!

親友に言われた通り、母に言いました。
「よっちゃん(お嫁さんの名前)がね、洗濯物が少ないから
私に洗ってほしくないのかなって悩んでるよ」
「私の洗い方がだめだから出してもらないのかなって悲しんでるよ」

そうしたら、母は
「えーっ!そんなことない。全然ない。
よっちゃんは忙しいから申し訳なくて・・・」

「よっちゃんを安心させるためにも
洗濯物をちゃんと出してあげないとあかんよ」

母は「わかった。そうする。ありがとう」って
泣いていました。

母は、遠慮していたのです。
私はそれに気づいてあげられなかった。
母の気持ちをちゃんと考えながら言わなくてはいけなかったんですね。

上から押し付けるんじゃなくて、
相手の立場に立って、言い方も考える・・・
難しいです・・・。

これまでも、地元の友達から
親の介護の話を聞くことはありましたが、
自分の親が元気なときは、
「大変だねえ」って聞くだけでした。

自分の親を介護するようになり、
今回、親友のアドバイスがありがたかったです。

悩みを共有したり、助けてもらったり。
同じような境遇の人と、
話をするって大切だなあと思いました。

地元富山の人たちに支えられての遠距離介護を綴ります

テレビや舞台で大活躍する女優の柴田理恵さん。90歳になる母の須美子さんは、今も富山県で地域の方々に見守られながら、元気に一人暮らしをされています。長年、小学校の先生をされてきた須美子さんは、とにかく明るくて、気っぷのいい性格だそう。そんな須美子さんですが、2017年の秋に体調を崩して寝たきりになり、一時は「要介護4」の認定を受けたこともあります。そこからどうやって現在の元気な毎日を取り戻したのでしょう? 須美子さんの奮闘を励まし、見守った日々のほか、さまざまな思いを綴ります。

※第9回は3月31日に更新予定。

5月からWAHAHA本舗全体公演「王と花魁」に出演予定

しばた・りえ 1959年、富山県出身。明治大学文学部卒業後、劇団東京ヴォードヴィルショーを経て、84年、WAHAHA本舗を設立。劇団の中心メンバーとして舞台で活躍するかたわら、映画やテレビドラマ、バラエティー番組、CFなどに幅広く出演。5月からWAHAHA本舗全体公演「王と花魁」(http://www.wahahahompo.co.jp/stage/koen/zentai/thegreatestkabuki/)に出演予定。

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