「かわいらしさ」がやりがい=シングルマザー、仕事との両立

21 Nov 2019

介護業界には、シングルマザーとして子育てと仕事を両立する女性も多い。シフト制だから定時に帰れるし、安定した収入も大きな魅力だ。近所の事業所で働くことが多いから、休日に子連れでイベントに顔を出すのもよくある風景。継続の秘訣は、職場の風通しと助け合いのようだ。

事務作業をしながら入所者に目を配る

■ラーメン店から転職

横浜市瀬谷区の特別養護老人ホーム(特養)「愛成苑」の介護福祉士、谷田美織さん(28)は今、第2子を妊娠中だ。「産休、育休と長期で職場を離れるのは初めて。何をして過ごせばいいのかな。たぶん施設に遊びに行っちゃいそう」

シングルマザーで、ラーメン店で働いていた谷田さんに転機が訪れたのは、長女が2歳のとき。仕事がきつく転職を考えて、横浜市の特養経営者らが組織する「市福祉事業経営者会」のホームヘルパー2級(現・初任者研修)の講座を受けた。「介護のことは何も分からないどころか、おじいさん、おばあさんと触れあったこともなかった」。施設実習で赴いた「愛成苑」では、声のかけ方からおむつ交換まで覚えることだらけだったが、仕事は苦にならなかった。

「稼がなきゃ、という思いはもちろん強かったですが、落ち込んでも一晩寝れば大丈夫で…」という持ち前の明るさで仕事に慣れ、実母の助けで夜勤も増やした。勤め始めて8年近くになるが、「辞めたい」と思ったことは一度もないという。

入所者の表情を読み取りながら介護する谷田美織さん

■辞めない理由

その理由のひとつが、「居心地がいい」こと。取材中も、施設には子供を抱いた別の女性がやってきた。平本千恵子施設長は「うちの職員です。子供を迎えに行く途中で寄ってくれました」。

谷田さんも、「赤ちゃんを見ると、入所者さんたちが喜んでくれる」と、長女を連れて施設のイベントや地域の祭りに参加してきた。子供が急に発熱しても「皆がフォローしてくれる。休んでも気まずさはない」(谷田さん)と〝お互いさま〟が根づいている。

もうひとつの理由は、入所者の魅力。入所者90人の介護保険の平均要介護度は4・2で、コミュニケーションが難しい人もいる。それでも、表情を見て「楽しそう」とか「辛そう」などと分かるようになった。特に好きな仕事は入浴の手伝い。湯に浸かり、くつろいでいるのが分かる。「おじいちゃん、おばあちゃんたちってかわいらしいな、って思います」

■看取りまで

それだけに、看取りのときはつらい。見送った入所者の葬儀に参列し、家族から「ありがとうございました」と言われたときは、家族の気持ちを思って胸が痛くなった。

つわりで体調がつらいときも働き続け、自分でも「よくやってるな」と感心する。第二子は12月に生まれる。職場復帰は保育園入園のタイミング次第だが、2人の子供を、「かわいらしい」おじいちゃん、おばあちゃんに見せる日を楽しみにしている。

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