「一緒に改善を喜べる」=暮らしを共にする介護職

21 Oct 2019

自宅で暮らすために、心身の機能回復を図る介護施設では、日々の生活にもリハビリの要素を取り入れるのが一般的だ。朝夕や食事どきなど、〝暮らしを共にする〟介護職には、本人の「できる」「できない」がよく分かる。「良き観察者」の役割に、医師やリハビリ職の期待が集まる。
 
大阪府守口市の松下介護老人保健施設「はーとぴあ」で在宅復帰フロアリーダーを務める介護職、新堂真央さん(32)は、「みんなで考えてリハビリに取り組むことで、(利用者の)できることがどんどん増える。それを、本人や家族と一緒に喜べるのが楽しい」とやりがいを語る。
新堂さんは高校生の時、祖母が脳梗塞で倒れたのをきっかけに、介護の道を志した。福祉の専門学校在学中にアルバイトをしたはーとぴあに、そのまま就職。認知症フロアを経て在宅復帰フロアを担当し、今はリーダーを務める。

利用者は様々なリハビリに取り組む=大阪府守口市の松下介護老人保健施設「はーとぴあ」

■生活時間のリハビリ効果

事業所のスローガンは、「365日、24時間すべてがリハビリ」だ。在宅復帰フロアでは、家での暮らしに欠かせない日常生活動作(ADL)を細分化。9つのリハビリ目標と11の作業を一覧表にし、介護職、リハビリ職、看護職、本人が話し合って、どれに取り組むかを決める。目標が「すり足にならずに歩ける」なら、手すりふき▽コーヒー配り▽台ふき-の作業が効果的だ。

生活の中には、リハビリになる動作がたくさんある。生活時間を長く共にする介護職は、利用者一人一人に何ができ、何ができないかを知る観察者でもある。着替えやベッドからの起き上がりなど、「リハビリ職と相談しながら、本人のできることは手伝いすぎず、して頂くようにしています」と新堂さん。

はーとぴあでは6年前から、「公文教育研究会」による高齢者向け「学習療法」も行う。スラスラできるレベルの計算や読み書きで脳の活性化を促す。新堂さんは同会の「学習療法マスター」として、ここでも中心的な役割を果たす。

認知症フロアでは、ことわざの続きをあてるクイズが行われていた

■全スタッフの協力で

プリントの時間には、事務職も含めた全スタッフが協力し、マンツーマンで入所者と向き合う。週3~5回、1回30分程度だが、入所者は合間にゆっくりと気持ちに寄り添ってもらうことで、気持ちが落ち着く効果も。新堂さんは「昔の話を聞いたり、タイムを計って、『昨日より早いですよ』とほめたり、とにかく楽しい時間になるようにしています」と話す。

認知症の人は特に、精神的な安定が家に帰る鍵。さまざまなケアの効果で、早ければ2、3カ月で穏やかになる人もいる。はーとぴあでは、認知症の入所者も含めて8割前後が自宅に帰る。涙を流して喜ばれることもあるという。

施設長で医師の大野悦子さん(63)は「介護職が24時間きっちり観察し、リハビリ職は運動機能をしっかり評価する。一人一人が生き生きと、望む生活ができるよう、機能を向上させるには、多職種が連携して関わることが不可欠です」と力を込めた。

全国4000カ所にあるリハビリ施設

◇介護老人保健施設とは

特別養護老人ホーム、介護医療院と並ぶ介護保険の入所施設。高齢者が退院後などに利用し、リハビリで心身の機能を向上させ、家に帰ることを目指す。全国に約4000カ所あり、平均入所期間は約300日。利用できるのは、要介護1~5の認定がある人。家で暮らす人が、通いでリハビリを行う「デイケア」や、家族の介護負担軽減のために短期入所する「ショートステイ」もあり、在宅の地域拠点の役割を果たしている。

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